

7月18日は当社にとって記念すべき日となりました。それはH邸が、当社が日本住木センターから認証を受けた「新工法」で屋根の施工をした第一号の家だったからです。
上のパースは完成予想内観パースで天井がその認証工法による「杉板構面」つまり構造計算を伴う強靭な天井という事です。上の写真の方は18日午後4時頃のものでH邸の屋根を打っている所です。御覧のようにH邸の屋根板は合板ではなく杉板です。別に何の変哲もない屋根の造り方に見えますが、これは「耐震等級3」の家では非常に珍しい造り方です。というのはこの家のように登り梁直打ち工法の家で耐震等級3を取得しようとすると「許容応力度計算」が必要で、その為には屋根の剛性の証明が必要になりますが、日本の建築法は「水平構面」(構面とは家が倒れない為の剛性を保持する面)としては杉等のムク板は実質×で、合板でしか認めていないからです。何故か?と言えば構面はXとY方向、両方向で耐える必要があるのですがムク板には巾の限界があり、力を受けると板相互の合わせ面にズレが生じ、力が抜けるからです。それは板相互の摩擦とか釘の打ち込みにより相当な抵抗力を発揮はしますが大地震には万全とは言えないと国は判断していると思われます。そこで多くの研究機関等がそこを補填すべく研究開発しているのですが、どれも実効性に欠け普及には至っていないのが実情です。従って杉板工法で建築確認は取れても「長期優良住宅」の認定は得られず、それに付与される様々な特典(助成金、税、金利優遇等々)の対象にならない、という重大な問題がある訳です。
ところがこのH邸は耐震等級3を取得、長期優良住宅の認定も受けました。それはH邸の屋根、及び2階床が、日本住木センターから強度のある構面として正式に認証を受けた工法だからです。しかも建前は屋根のルーフィングまで1日で終了、夜に雨が降ってもOKという所まで進み、工法の優れた経済性、実効性を証明しています。

玉井は山歩きが好き、ここは奥美濃山地・瓢が岳にて。間伐ナシとか雪害で根こそぎ杉檜が倒れ放置されている。日本の林地は急峻、林業はキツイ!何とか機械化できないものか?
認証に至った事情を少し…。当社は以前から杉厚板の長所を認識(杉は乾くと強力になり長尺使用が可能、断熱性も高く(熱伝導率0.12以下)加工も容易で美しく結露に強い、しかも杉は本州、四国、九州と日本の山のどこにでも大量にあり、すでに充分伐採期を迎えています。昔は電柱や足場板という大きな需要があったのですが今や需要は細り、一部柱と化粧材のみが製材される現状で山は荒れ、杉は放置され林業は人が集まらず製材所は疲弊、日本の山野には杉、ヒノキが溢れているにも拘わらず多くを輸入に頼るという歪んだ状況が続いており、そうした日本の状況を嘆く人は沢山おります。

岐阜県森林アカデミ-にて実大せん断試験中の玉井(マスク)バックの杉板パネル4畳半大15体を現場で製作、強力な油圧試験機で押し引きし、変形抵抗値をコンピューターで数値化するという作業。あまりに強度が出てホールダウン金物がちぎれる恐れが出た。
更に2022年4月に建築基準法第6条の「4号特例廃止」が閣議決定されました。そうなると長期優良住宅どころか杉板構面では家が造れなくなる恐れが出ました。窮地に追い込まれた当社は「杉板で構面強度を証明するしかない」と、美濃市の「岐阜県森林アカデミー」の協力を得て4畳半大、計15体での実大「せん断試験」を決行(上写真)特別な工夫をひねり出し床倍率最大2.5倍という驚異的数値を達成、日本住木センタ-(東京・江東区)に強度認証を伴う「新工法」を申請、日本の木構造の最高権威による委員会が1年半に亘って何度も開かれ、色々な試験を経た後の昨年11月6日に、劣化安全率を加味「床倍率最大2.0kN/m」という認証(写真)を得ました(工法は特許申請、昨年9月に何の問題なく取得)

床倍率2.0kN/mと言っても多くの方は意味が分からないと思いますが、木造の例えば巾1mのその壁が壁倍率1だとすると、その壁は上端に200kgの外力(地震、風)を受けても耐えられる壁、と思って下さい。壁倍率は縦方向、床倍率は横の面で、地震、風を受けた場合の抵抗できる数値が構造計算の基となる「倍率」となる訳です(数値が大きい程強い家)


上はH邸の北側外観と平面、断面です。
上記閣議決定は今年4月に実施となり、建築確認は「確認」というより「許可制」となりごく普通の家を造る場合、恐らく日本は世界で最もハードルの高い国になったでしょう。一方で非常に白黒が明確になったと言えます。これまで法は日本古来の「軸組み」と2×4工法的「壁工法」の間で「揺れる」感じが残っていましたが、改正では「壁工法」が徹底され、以外は実質建築不可となり(石場建て=伝統工法、というのは残した-壁工法は文化財の否定に繋がる)また構造計算ソフトが苦手とする家(コンピューターは直角を好み、不等曲線、ゆがみを嫌う)は事実上計算に不適で、旧来の真壁的な家、古民家的な家、多彩な家は極めて不利となりました(平屋で200㎡以内、都市計画区域外なら自由度は高い)こうした傾向は先進国の宿命と言えます。ヨーロッパでもそんな傾向は顕著で現在進行形で建っている新築の家はやはり2×4工法類似の家で、古民家的家は皆無です。(玉井のイングランド3千キロドライブ紀行、ドイツ鉄道紀行参照)そうした状況の中、当社としては日本の新たな建築ルールを尊重しつつ、認証ムク板構面の強みを生かし、丈夫で個性的、魅力ある家に取り組んでいきたいと思っております。
新ルールは先ず「適切で計算された壁構面」を問います。壁量の確保、そのバランス、次に屋根、天井、床の「水平構面」当社の認証はその水平構面の構造計算の基となる床倍率数値になります。3㎝厚、13.5㎝幅、含水率20%以下、樹種は問いませんので杉の他、檜や赤松、落葉松、エゾ松トド松、JAS等級3同等の無等級材でOKです。そうした板を供給したい製材屋さん、或いはこの認証に興味のある方は玉井までご連絡下さい。
( tamai-t@daiwakoumuten.co.jp)
なお当社のノウハウとしては ①日本住木センターにて実物大試験体を製作、テストを受け「DAIWA板倉工法」に関し平成2年、30分の国交大臣の防火認定を取っており、準防火地域で板倉の家が可能となり多くの板倉実績があります。また 特許については今回以外に ②「DAIWA床暖房」の特許を取得、その後も日々進化させ、この床暖は現在もっとも弊害のない永久的システムに仕上がっており、現実としてもっともすぐれた全館暖冷房と私は思っています。私・玉井の家で15年前に始めたものですが、快適です。当社展示場にもセットされており一泊体験される方は多いです。
長い話にここまでお付き合い頂き、誠にありがとうございました。








































